家づくりなんでもQ&A

HOUSE BUILD FAQ
2016.07.12
構造・設計・設備

木造軸組工法と2×4工法の特徴や違いってなに?

そもそも住宅工法は、どんな種類があるの?

日本の家づくりには多種多様な住宅工法があります。世界広しといえども、これほど多くの住宅工法が存在するのは日本だけと言えるでしょう。住宅工法は大きく分けて5つの主流があります。

<木造軸組工法(在来工法)>
日本で最も主流の工法であり、住宅の7~8割がこの工法で建てられています。基礎の上に木の土台を据えて、柱と柱を梁で水平につなぎ、対角線を筋交いで補触します。筋交いの量と配置バランスが耐震強度を左右します。

<2×4(ツーバイフォー)工法>
北米などで最も主流の工法です。使われるランバー(厚板製材)の断面サイズが2インチ×4インチであることから、この名前で呼ばれています。生産性や耐震性に優れ、火災にも強いのが特長。またオシャレな外観も2×4工法の売りとなっています。

<重量鉄骨造>
高層ビルなどを建てるのと同じ工法で、厚さが6ミリを超える鉄骨を使用します。間取りの自由度がとても高く、大きな空間を作ることが可能です。頑強な構造ですが、軽量鉄骨よりも鉄の厚みがあるため断熱性は低いです。また、火災時は鉄の柱が熱により変形し家が一気に倒壊する危険性もあります。

<軽量鉄骨(プレハブ住宅)工法>
工業製品のように大量生産を可能にした工法で、柱や梁などは厚さが6ミリ以下の鋼材で構成されています。安定した品質の住宅を大量に供給することができ、耐震性も高いです。しかし規格化されている分、自由なデザインの家づくりはできません。

<鉄筋コンクリート(RC)造>
コンクリートと鉄筋の特性を組み合わせることで、強固な構造を生み出す工法です。鉄筋を組み、型枠で囲った部分にコンクリートを流し込んで、柱、梁、壁、床を作っていきます。耐久性や耐震性にも優れた建物になりますが、施工的な難易度が高く、コストも高くつきます。

木造軸組工法のメリット・デメリットとは?

木造軸組工法は日本古来から伝わる住宅工法。現在も多くの住宅で取り入れられているのは、日本の気候や風土に合った工法だからです。デザインや間取りの自由度が高く、増改築する際も比較的容易に対応できます。しかし、構造指針があいまいなため、家の出来栄えが大工さん一人ひとりの技量によって左右されます。また、接合部の施工が良くないと、将来きしみや傾きなどの欠陥が生じることもあります。

<木造軸組工法のメリット>
・間取りや外壁材料、屋根の形状など設計の自由度が高い
・2000年の建築基準法改正を機に、耐震性能が向上
・窓や出入り口などの開口部が大きくとれる
・増改築も容易にできる
・コストも比較的安い

<木造軸組工法のデメリット>
・家の精度が大工さんや工務店の熟練度に左右されやすい
・接合部の施工が悪いと将来不具合が起こることがある
・柱のない大きな空間などの場合は設計の自由度が低い

<こんな人に向いています>
・家の間取りやデザインにこだわりたい
・将来的に増改築を視野に入れている
・コストを抑えたい
・入居する時期や期限を考えていない

最近はあらかじめ工場で木材を加工する「プレカット工法」が主流となり、現場ではそれを組み立てるだけという状況に変わってきています。そのため、大工さんの腕に左右されるリスクは減少傾向にあります。

2×4工法のメリット・デメリットとは?

木造軸組工法が柱や梁といった「軸組」で家を支えるのに対して、2×4工法はフレーム上に組まれた部材と合板で床、壁、天井の面を作り、それらを6面体に組み合わせた「面材」で支える工法です。北米の住宅の9割以上で採用されており、耐震性や耐火性、気密・断熱性に優れています。また、合理的に標準化された工法なので、工期が比較的短く、出来上がりにバラつきが出にくいのもポイント。一方で、構造体が壁のため木造軸組工法よりも制約があり、増改築の自由度は低めです。

<2×4工法のメリット>
・在来工法と比較して、1.5~2倍程度の耐震性がある
・気密・断熱性、耐火性に優れる
・工期が比較的短い
・大工さんの技量に左右されず、出来上がりにバラつきが出にくい

<2×4工法のデメリット>
・木造軸組工法に比べて構造に制約がある
・窓や出入り口など大きな開口部を設けにくい
・大規模な増改築がしにくい

<こんな人に向いています>
・地震や火災に強い家を建てたい
・将来的に増改築を考えていない
・早く家を建てたい

耐震性に優れた2×4工法の家は、阪神大震災でもほとんど被害を受けなかったというデータがあります。メリットの多い工法ですが、「建築中の雨に弱い」という弱点はあまり知られていません。木造軸組工法の場合は一日で上棟し屋根組みを作るので、野地板を張れて雨を防ぐことができます。しかし、下から構築していく2×4工法では屋根が出来るまでに時間がかかるため、建築中に雨が降ると構造材が水に浸ってしまいます。そのため、最近は工場である程度の段階まで組んだものを現場で一気に組み立てる方法が主流となっています。

最適な住宅工法を選ぶために、注意する点を教えて

各住宅メーカーによって採用している住宅工法はそれぞれ違います。そのため、会社が提案する工法が、自分の理想の家づくりと合っているかということを見極める必要があります。さらに、家を建てる立地によっては施工に制限や追加コストが発生する場合もあります。後で後悔しないように以下の項目を事前にチェックして、疑問点があれば担当者に相談しましょう。

<敷地の周辺環境や形状に対応可能か>
変形した土地や狭小地では大きな機材を使う工法は難しく、資材の搬入ができないことも考えられます。

<防火地域に該当しているか>
防火地域や準防火地域では構造や工法が限定されます。木造建築物においては一定の耐火基準の満たす必要があります。

<地盤に問題はないか>
軟弱な地盤の土地では、鉄筋コンクリート構造などの重量がある建物の場合、基礎にコストがかかるケースが多いです。

住まいの間取りや丈夫さ、コストや施工期間など、住宅工法によって大きな差が出ます。そのため、「住宅工法を制するものは、家づくりを制する」と言っても過言ではありません。それぞれの特徴やメリット・デメリットをしっかり把握して、条件に一番ふさわしい住宅工法を選ぶようにしましょう。

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